新連載!第1回 デザイナーSさんが恋敵からもらった甘酸っぱい本

 

 

ときどき仕事でご一緒するデザイナーのSさんは、会話の端々に幅広い読書趣味をのぞかせる気になる存在。

デザイナーとしてのキャリアを10年積んで、プライベートもそろそろ安定するかな?という30代の彼は、これまでどんな風にモテと付き合ってきたのでしょう。

 

 

モテを一番意識したのは、やはり中高生の頃?

 

いや。ぼくは女きょうだいの中で育って、従姉も近所も女の子ばかり。中高も私立で男子より女子が多い環境だったので、女性を神秘的なものとして感じたことがないんです。

当時まわりの女子は倖田來未が好きで、ディズニーのひざ掛けをして……みたいな子ばかりで。この人にモテたい、という対象がいなかったんです。

 

好きなアイドルやタレントは?

 

ぼく、ロリには興味ないんですよ。当時から今でも好きなのは…石田ゆりこです。お姉さんが好きなんですね。

 

その頃はどんな本を?

 

読書家の友人にすすめられた本を、片っぱしから読みました。そいつと古本街に行って、ワゴンセールの古本を買ったりもしましたね。

なぜかぼくにはいつも、いろんなことを教えてくれる’アニキ的な存在’がいるんです。本だけでなくて、音楽や他の文化も、彼らがすすめてくれたものを手にする。

ちょっとホモセクシャルな部分もあったと思いますね。当時は女子にモテることより、男の中でどう見られるかのほうに興味がありました。

 

 

アニキ的存在の導きからたどりついた音楽雑誌『SNOOZER』。「ああ、でも今見ると……タイトルの数字の字間が気になりますね」

 

憧れの男、ベンジーがすすめていたから読んだ『星の王子さま』

 

女性に対するモテを意識しはじめたのは?

 

高校を卒業して、美術学校に行きはじめてからです。ぼくは実家通いだったんですが、一人暮らしの友達もいるじゃないですか。彼らが大人びて見えて……。

これまで女性とつきあった経験がなかったので、自分が憧れるような男になるために、これから女性とたくさんつきあうぞ、と。

 

その頃に読んだ本は?

 

はい、この本です。松浦弥太郎『くちぶえサンドイッチ』。

 

え、まさかこの本をモテの参考に?

 

いいえ。とくに好きな作家というわけではないのですが。美術学校で2番目につきあった子を、5才年上の人にとられたことがあって……そのときなぜか、その男性がこの本をぼくにくれたんです。

 

なんで?!

 

ぼくにもわかりませんが…笑 いちおう全部読みましたね、根が真面目なもので。

 

当時からずっとSさんの本棚にささっている『くちぶえサンドイッチ』。「大切でもないけど、引っ越しのとき処分しようとも思わない。まあ話のタネになる、思い出のある本ですね」

 

 

このときね、ぼく、ちょっとした復讐をしたんです。

 

ちょっとした復讐?!どんなことしたんです?

 

その彼と、2人だけで喫茶店に入って話をしたんです。いきさつとか、彼女のことをどう思っていたか、みたいな話を。そして話し終わったあとに、録音させていただきました、と胸ポケットからペン型のボイスレコーダーを出して見せました。

 

それ、どうしました?!

 

とくに何にも使ってないですよ笑 ただ録音しただけ。それがぼくのちょっとした復讐だったんです。いやな奴でしょう。

 

いや、おもしろいです。5才上とはいえ彼も20代前半でしょうから少しびびったでしょうね。

 

「どうだろう……結局、当時のぼくはどんな男になりたいかばかりで、相手のことをちっとも考えていなかったんですよ。恋愛もうまくいくはずないですね」

 

かわいい復讐を経て、モテることより相手あってのお付き合いへと意識が変化したSさん。読書が成長をうながした…わけじゃないけど、思い出深い本をありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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