第14回 「自分(じゃないもの)探し」

 

ぼく、ヒモックマ。

 

女に養ってもらっている白クマの男の子だよ。

 

ヒモの話をしていると、絶対に飛んでくるのが「いつまでヒモを続けるつもりですか?」という質問。

 

 

 

この質問をしてくるやつは、だいたい40歳間近で、仕事もプライベートもすべて行き詰っている人に多いです。

 

おそらく、「自分より下の存在」を見つけて、安心したいのだと思います。

 

あなたには、あなたの生き方があるので、それは否定しません。

 

でも、ごめんなさい。

 

「なんとなく」で人生を選んできたわけじゃないので、ヒモをやめる予定はありません。

 

 

ぼくは、ヒモを「一生の仕事」だと決めて取り組んでいます。

 

なんとなくヌルっと始めたわけではなく、しっかり自己分析をした上で始めた仕事だから。

 

これは、学生さんから進路相談を受けた時にアドバイスしていることなのですが、天職を探すためには「自分探し」ではなく「自分じゃないもの探し」が重要なんじゃないかと考えています。

 

「自分探し」が、自分の好きなものを探すポジティブなものだとするならば、「自分じゃないもの探し」は、自分の嫌いなもの・やりたくないことを探すネガティブな自己分析です。

 

まだ20歳そこそこのお若い学生さんに「自分の好きなことを見つけろ」と言ったところで、そもそも世の中にどんな仕事があるのかすらわかっていない状態なのだから、無理難題ですよね。

 

「自分の好きなこと…? なんだろう? わからないです…」となるのが、普通です。

 

でも、ごく稀に20歳そこそこで「自分の好きなこと」をちゃんと見つけるやつがいるから厄介…!

 

大人たちは「ほら、あの子みたいにやりなさい」「キミもきっと見つかるから」と、無責任なことばかり言ってきます。

 

今度、「20歳そこそこで自分の好きなことをちゃんと見つけた子」を、みんなでボコるパーティーがあるんですけど、あなたも来ますか?

 

チケット、安くしときますよ。

 

 

まあ、そんなパーティーはさておき、社会経験のない学生さんが「やりたいこと・好きなものが見つからない」と悩むのも当然のこと。

 

まだ体験したこともない、大量の「もしかしたら、これ好きかも…?」の山の中から、胸を張って「これが好きです!」とひとつだけ選んで宣言するのは、怖すぎますよね。

 

その結果、「好きなものが見つからない(=興味あることはたくさんあるけど、ひとつに決められない)」と悩んでしまうわけです。

 

この状態で悩んでいる学生さんをたくさん見てきました。

 

そんな時に、探してほしいのが「やりたくないこと・嫌いなもの」です。

 

「好きなものをひとつだけ選ぶ」のは、難しいですが、「嫌いなものをたくさん選ぶ」のは簡単なはず。

 

社会経験がなくても、今まで生きてきた中から探せますよね。

 

小学生のころのトラウマや、中学生のころの失敗談、高校生のころにすぐ辞めたバイトなど、過去の嫌だった体験を掘り起こしてみてください。

 

「大勢の人の前だと緊張する」「朝早く起きるのは苦手」「ずっと立ちっぱなしはしんどい」など、何でもいいです。

 

とにかく、過去の経験から、嫌いなもの・やりたくないことをリストアップしていってください。

 

その羅列したものたちが「自分の中にはないもの」つまり「自分じゃないもの」です。

 

それらをどんどん自分のまわりから排除していきます。

 

そうすると「まあ、これならやってもいいかな」「これなら我慢できるかな」というものが残っていきます。

 

その残ったものたちが形成している姿が「自分」です。

 

逆説的な自分探しですね。

 

 

そして、この方法のメリットはもうひとつあります。

 

それは、選んだ職業が「失敗だった場合(自分に合っていなかった場合)」に発揮されます。

 

もし、長い長い自分探しの末に「これが一生の仕事だ!」「これ以外考えられない!」と強い意志で決めてしまっていた場合、次に切り替えることがなかなか困難だったりします。

 

次の目的地を失って、ウロウロしてしまいます。

 

新卒で入った会社をすぐにやめて、何年もニートをしている…という人の話を聞きますが、まさにこの状態でしょう。

 

『自分探しの末に「これが一生の仕事だ!」と強い意志で決めたのなら、簡単に「失敗だった…」と諦める方が悪い!!』なんていう意見が老害ジジイから聞こえきますが、気にすることはありません。

 

入った会社がブラック企業だったり、体調不良で続けるのが困難になってしまったり、自分の「やる気」だけではどうにもできない事態は、いつだって起こり得ます。

 

そうなった時に、「好きなもの」だけを見て、自分の道を決めてしまっていると、ちょっとだけリスクが高いんじゃないかと思っています。

 

それに対して、自分じゃないもの探しなら、「嫌いなもの・やりたくないこと」に該当しない他の職業を選べばいいだけなので、すぐに切り替えることができます。

 

さらに、その失敗すらも「この職業は自分に合っていなかった」と、次の仕事選びの糧(かて)になります。

 

自分探しと、自分じゃないもの探し。

 

どちらが良い悪いという話ではなくて、もしあなたが今、自己分析で悩んでいたとしたら、こういう方法もありますよというひとつのご提案でした。

 

 

で、その「自分じゃないもの探し」の結果、ぼくの嫌なこと・やりたくないことはこういうラインナップになりました。

 

・早起きしたくない

・睡眠時間を誰かに決められたくない(好きなだけ寝ていたい)

・満員電車に乗りたくない

・毎日同じ場所に通いたくない

・休みたい時に休めないのは嫌だ

・あんまり外に出たくない

・人付き合いで嫌な気持ちになりたくない

・自分の評価を誰かに委ねたくない

・食事を我慢したくない

・働きたくない

・とにかく働きたくない

 

といった感じです。

 

このリストに並んだことをやらなくてもいい職業は何があるだろうかと考え抜いた先に、ぼくは「ヒモ」という職業を選択しました。

 

しっかり自己分析した結果、選んだ職業なので、とうぶん辞めるつもりはありません。

 

もし、あなたが今、将来のことや、お仕事のことで悩んでいたら、ぜひ「自分じゃないもの探し」で、天職を探してみてください。

 

ぼくの「ヒモ」という職業のように、あなたにも「一生の仕事」が見つかることを願っております。