第8回 当店でモテモテの本 season1

 

 

 

 この連載がはじまってからというもの、本を見る目が変わってきました。「どうやってモテとからめて、ネタにしようか?」

 当店には恋愛工学はもちろんハウツー本も置いていません。そんな本を読んでもモテるわけはないし、そもそもいったいモテって何ですか? 動物のモテはわかりやすいけれど、人間は? じゃあ本は? ということで、今回は「モテる本とは何か」について考えます。

 

 

シンプルに考えてモテる本といえば、「人気のある本」ということになるでしょう。ではミリオンセラーがモテる本なのか?と聞かれたら、それは違う気がします。

人間だって、しょっちゅう言い寄られるのに、肝心な意中の人からはお声がかからない…なんていうのはよくあること。会社ではモテないけど行きつけのスナックではモテるとか、社会人になって腹も出てきた頃にモテだしたとか、環境や時代も大きく関わってきます。

つまり○○がモテる、○○すればモテるといった古今東西万人共通のモテ・セオリーなんてないのです。

 

本に戻ります。

そんなわけで、書籍一般や他の書店については書けることがないのですが、自分の本屋においては「この本、モテてるな〜」という感覚はしっかりとあります。いま(3月上旬)当店でモッテモテの本はこちらです。

 

石山さやか『Useless Drawing

https://popotame.com/items/574142fb1003158c63004ff4

 

 

 

イラストレーターでコミック作家の石山さやかさんが個人で制作した作品集。下書きだったり落書きだったり、’使い道のない’スケッチばかりを集めたものです。

身近にいそうな誰かの、他人には見せない表情や、心が少し動いた瞬間をとらえたイラストはどれも魅力的。石山さんはふだんから若い男女だけでなく、子どもから老人までさまざまな年齢の人を描きます。人間って何才でもおもしろいな、と思わせる画力のある作家さん。

小ぶりで控えめなデザインなので、たくさんのアイテムのなかから見つけるのは困難ですが、いちど表紙を開くともう虜ですね。もともと静かに長く売れていた本ですが、ちょうど展覧会もあったので3月のモテ本に輝きました。

 

当店にはオフラインの実店舗とオンラインストア(通販)があります。こちらはオンラインでモッテモテの一冊。

 

高妍(Gao Yan)

「緑の歌」

https://popotame.com/items/5c182a8dc3976c2dee97108a

 

 

 

作者のガオ・エンさんは台湾人アーティスト。大・大・大ファンの細野晴臣の音楽に着想を得て描いた、私小説のような短編コミック集です。台北のインディ書店 mangasickが日本語版を出版しました。

彼女が高校時代に聴いた「風をあつめて」、初来日で買ったアルバム「風街ろまん」など、主人公の女性(著者)のモノローグとともにBGMが脳内で心地よく流れます。

手にとりやすいサイズと価格で店頭でも人気はありましたが、先日ツイッターで話題になったのをきっかけに、オンラインストアでもモテ本に躍り出ました。

そのツイートはこちら。作者のガオ・エンさんと、台北ライブ後にmangasickに立ち寄った細野晴臣さんとのツーショットです…! 夢は叶うのですねえ。

 

https://twitter.com/_gao_yan/status/1099602333569232898

 

オンラインでどの本がモテているのかは、アクセス解析を見ればすぐにわかります。閲覧数はトップなのにカートに入れられていない本は、「たくさんお声がかかるのに意中の人からは……」というケースでしょうか。

否! それは私の解説が悪かったり、送料や特典の問題で他のオンラインストアで買われちゃったり、外的要因であって本にはまったく責任がないのです。

なにがモテにつながるかは、わかりません。『緑の歌』の作者、ガオ・エンさんのように、自分の気持ちをしっかりと表現して伝える手段を持てば、いつかきっと願いは叶うのです。(season2につづく)

 

 

 

 

 

 

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