story17. 寿命を延ばす?和菓子屋

 

 

感化されやすい割に飽きっぽく、趣味や興味が長続きしない。というギャグにも何にもならない特技?を持つわたしくしですが、昨年からハマりだした和菓子への執着は未だ冷めやらず、和菓子屋をめぐる日々が続いております。

 

先日も前から気になっていた日本橋の「鶴屋吉信」さんへ参りまして、あ、一人で。言うまでも無く、お一人で。(繰り返したいくらいカップルやグループが目立つ空間だったもので……)

 

さて、どうでもいい自虐はサクッとすっ飛ばしますが、こちらのお店だいぶ話題にもなり、知ってる人はご存知かと思いますが、カウンターで和菓子の実演が見れて、そのまま出来立てを頂けるという粋な和菓子屋なのでございます。

(出典:鶴屋吉信HP http://www.turuya.co.jp/tenpo/tokyomise_top.html

カウンター席は7席しかないので、待ちが発生しやすい人気店ですが、二人組で来る「映え目的」の女子やカップルの2×3=6の狭間に空いた1席にアローン来店であるが故に容易に滑り込めました。結果、やっぱりアローン最高ですね(内心涙泣濡)

 

お店のHPを見ると、このカウンターでの生菓子実演スタイルの事をこんな風に紹介していました。

 

「生菓子のできあがる過程もゆったりと味わっていただき、職人との会話を楽しみながら、上質なひとときをお過ごしください。(一部抜粋)」

 

え?話しかけていいんですか、って言うか何?この素敵な文言。↓

 

生菓子のできあがる過程もゆったりと味わっていただき――

 

過程を「味わう」?「楽しむ」ではなく?や、逆にありがたい。先にそういうの言ってくれるとこっちも気持ち作りやすいです。さすが、広報の方。工程を実際に食べるわけでは無いけれど、同じことだと思いました。今まで口に入れた物でわたしの下半身のセルライトが出来上がっている様に、目で見たもの、耳で聞いたものも自分の体に入ってわたしの一部になるのです。

(サンプルなのに、いちいち洒落とる、この時は節分スペシャルがあった、右端赤鬼)

 

同時に入店した「映え目当て風」の可愛い二人組に接客をした後、職人さんがわたしの前に来て、和菓子を選ばせてくれます。一滴も残さず全てを味わい尽くしたい貪欲なわたしは『取りこぼし無しコミュニケーションレベル1おすすめは何ですか』を発動させます。優しい職人、緑色のやつを勧めてくれました。自分の中に信じられんくらい邪な魂胆があるのに、職人がピュアすぎて危うく泣くところでした。

(結構近いところで始まる調理、職人の手が信じられん位キレイ、手タレかという程に)

 

Q1、じろじろ見られて作ってて嫌な気しませんか?――

唐突に質問を開始するんですが、職人全く気を悪くせず、とは言え手は止めず、そればかりか、見せ場には写真を撮りやすい様にこちらに器具を向けてくれたりと余裕です。そして、「慣れましたね、今は見て貰ってから食べて頂けて、ありがたいなあって思ってますよ」と。あまりに神様みたいな回答だったんで「問答用マニュアルあるんですか?」って腐りきった大人みたいな事聞きそうになりましたが、なんとか堪えました。危ない。

(ほら見てごらん、と言われてないけどそんなサービスされた気になり危うく好きになりかける)

 

Q2、カウンターで調理工程を見て食べるメリットってありますか?――

職人「作っている最中に、食べる時の事を考えてワクワクして頂けているのかもしれませんし、楽しみを膨らませて頂けてる気がします」……確かに、今まさに私がそうです。「あの中に餡子が入ったぞ、あれを噛めばあれが出てくるぞ」って目で見てしまっています。

 

「つまりそれって、調理工程を見せる事によって、『楽しみ』という未来を心待ちにする気持ちを作る、それはもはや延命ですね?」と言うわたしの意見に対しては「え?すみません何て」と聞き返されたのでスッと流しました。

(こんなに繊細な作業なのにここまでわずか5分程という驚異のテクにまたもや危うく好きになりかける)

 

そうこうしているといよいよ菓子が出来上がりました。一口、二口、と食べ進めながらついさっきちょっと見ただけなのに、既に思い出がある事に気が付きました。

 

これ、何かざるみたいなやつで捻り潰したあんこだ(←言い方)あ、これは粘土みたいにコロコロコロコロ丸めまくってたやつだ。(←だから言い方)など、とにかく一口一口にお味と思い出が広がって、今までに無いほど集中して食事をしていたのです。

(今でも顔に擦り付けたいくらい美味そうで、危うく好きになりかけ…もうええか。)

 

茶の椀は、飲み終わると中からおたふくが出てきます。何から何まで素人でも、友人や彼氏を帯同していないザ・アローン女子でも「あはは」とちょっと声が漏れてしまうくらい楽しくなっていました。

 

お店のコンセプト紹介に「楽しみも提供したい」という様な事が書かれていたのを思い出しました。わたしは菓子と共に確実に「楽しみ」を頂いていました。その味は、菓子以上に甘美であり、癖になるものでした。

(飲み干す少し前位から目が合い始めていたおたふく女史)

 

職人さんにはちゃんと聞こえず、スベったみたいになってしまったのですが、やっぱりわたしは確信しました。『楽しみ』それは命を少しでも先へ運ぶための本能だと。全てを頂いた後わたしは無駄に長居をすることは無く、速やかに席を立ち店を出ました。

 

それは食後にお喋りを楽しむ友人や彼氏が居なかったからでは決してなく、店の回転率に少しでも貢献する事でわたくしもこの美しい命を伸ばす尊い作業に関わりたい!という熱い思いから、という事でもなく、普通にトイレが我慢できなかったから。という事はどうかここだけの秘密にしておいて下さい。

 

 

 

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