第10回 細く、長くモテるには?

 

 

生まれてから死ぬまで、ずーっとモテ状態の人っているのでしょうか。私からみて「モテそうだな」と思う人たちでも、聞いてみると「大学に入るまで彼女がいなかった」「ドッジボールが強かった小学六年生のときがモテのピーク」「離婚してからモテるようになった」など、手放しのオールウェイズ・モテ人生はないようです。

そもそも普通の状態が「モテ」ならば、その人はモテているのかどうかも気づかないかもしれませんね。

 

本におきかえてみましょう。

いっときワッと話題になり、お客様からの問い合わせやオンラインストアの注文が増えるモテ本があります。店としては「よしよし、この本モテてるな〜〜」とホクホク顔で再注文……しかしそのとたんにピタリと売れなくなってしまう、なんてことも少なくありません。さっきまでモテてたじゃん!と文句を言いたくなることも。

当店くらいの小規模な商売だと、急なモテ本につきあうのはたいへんです。(インディ書店なので返品もできませんし)

 

いっぽう、目立たなくてもずっとコンスタントに数冊ずつでも動くような本があります。モテるモテない(当たる当たらない)の基準ではなく、ふりかえって見ると当店のベストセラー、ロングセラーといえる商品になっています。このような本は、おそらく引っ越しのときも古紙回収にまわすことなく、ずっと本棚で一生を過ごすのでしょう。

 

目立つモテではないけれど、ゆるやかに、誰かから必要とされている。まわりにふり回されることなく、マイペースに細々と末永くモテる……そんな理想的なモテを獲得しているのが、この本。2018年の秋に出版されたまだ新しい本ですが、当店ではもうロングセラーの予感がしています。

 

みやこしあきこ『ぼくのたび』(ブロンズ新社)

 

小さな町のホテルをきりもりするアナグマは、宿泊客から旅の話を聞くのが好き。仕事を終えてベッドに入って見る夢は、まだこの町から出たことがない自分が自由に旅をする夢。旅に憧れるアナグマのモノローグと美しい風景画が交叉して、映画みたいな時間をつくっています。大人も子どもも楽しめる、詩画集のような絵本。

 

じつは『ぼくのたび』が発売されたときに当店で原画展を開催したのですが、会期中になんと100冊以上を販売しました。出版されたばかりということや、原画展にいらした方はほぼ買って行かれるので、この100冊のモテは「想定内のモテ」といえましょう。

 

しかし原画展終了後半年たった今も、じわじわと売れ続けているのです。一時は版元に注文しても品切れ状態になっていることもありました。(そろそろ増刷するのかな?)

そもそも絵本というのがマンガや小説のように発行部数が多くなく、ドカンとヒットするものでもないので、「じわじわ」が正しいといえば正しいモテ方かもしれません。親が買って、子どもが読み、その子どもが大人になって思い出してまた買い……という、幸せな未来が想像できます。

 

いっときのモテる/モテない(売れる/売れない)ではなく、末永く愛される秘訣を、ロングセラーの本は教えてくれますね。

そんな『ぼくのたび』はこちらでサイン本が購入できます♪

https://popotame.com/items/5be7b808ef843f30e50001c8