第十六回 事件に囲まれて育った女

 

 

事件に囲まれて育った女

 

事件に囲まれて育った女とは三島自身の事である。

 

私の父は30年間某テレビ局での事件レポーターだった。

 

0歳児から父は基本的にTVの中で見るものだと思って育ってしまい、父がレポートする世界が基本的な世界なのだと勘違いしてきた。

 

事件を取り扱うのにはそれなりに知識がいるため、父は家にいるときは基本的に捜査官のようになり、口に出してベラベラ事件内容を話していたため、私はそれを会話だと思い育ってしまった。

 

そのせいで、基本的に殺人や放火がないことが奇跡的なことであり、すごいことなんだと少し実感できる。

 

しかしながら、事件の内容は台風だったりも多かったので、父が海の近くまで行き、死にそうになってるのをTVで見たときには、これが事件じゃんと、幼心に思った。

 

父は現場では少しでも近くに寄ろうとするため、カメラマンの命さえも危なくなるような人であった。

 

事件は毎日だったので、あーまた殺人かーみたいな状態に慣れていて、小さい頃は何で私生きてるんだろう、すげーじゃんと、思っていた。

 

しかしながら、事件は家の中で起こっていたことに大人になって気づいた。

父は、めっちゃ真面目な仕事をしていたくせに、チャラ男だったのだ。

 

いや、むしろ、チャラ男じゃないと事件レポーターなんて30年も続けられるはずがない。

 

本当に申し訳ない話なのだが、父はキャバクラか、クラブのネーチャンにはまっており、家に営業電話が来る始末だった。

 

今も父の名前でネットを検索すると若いネーチャンと肩を組んでいる写真がすぐにトップに上がる。

 

いや、チャラ男じゃないと、絶対に報道なんて続けられない。しかも前線を撮るのに、警察官とチャラい話をして、トップの画面に立っていたのだろう。

 

事件レポーターするには台風に向かっていく馬鹿さが必要になってくる。

 

バカだからこそ、いい画像が撮れるのだ。

 

さらに日頃の鬱憤を晴らすためには政治家をレポートするのが最高にストレス解消になる。

 

もみくちゃになりながら、どうなってんですかー?っていうのがチャラ男のステイタスだ。

 

チャラ男は未だにヘアスタイルにものすごい金をかけている。

 

私にとって、事件に囲まれすぎたために、なんていうか、事件じゃないことの方が不思議な日常なので、そういった意味で平凡な毎日を暮らさせていただいている。

 

自分なんてくっだらないことに悩んでんなーと、事件専用チャラ男のせいで知ることが出来た。