第11回 細く、長くモテるには?2

 

 

 

前回、当店でじわじわと売れ続け、細く長く愛されるであろう“細長モテ”の本を紹介しました。

どかんと売れて発注をくり返すような本でなくても、コンスタントにお買い上げがあり、気がつくと店頭在庫がなっているような本。少しずつ追加発注をくり返して、ふと奥付の表記を見ると、二刷、三刷と増刷をくり返している……そんな本たちは理想的なモテだなあと思います。

 

では個人の本棚の場合はどうでしょう。今回は私自身が細〜く、長〜く、愛読し続けている本を紹介いたします。

 

くらもちふさこ「おしゃべり階段」(集英社)

 

私にモテ続けているのはこの漫画です。映画にもなった「天然コケッコー」の作者、くらもちふさこ先生の初期の作品。

この本を買ったの30年前ですよ……これはもう細長モテどうこうではなく、もはや切っても切れない夫婦のような存在なのでは。

 

中学入学時は列の一番前、チビの仲間同士だった「加南(かな)」と「線」。子犬のように一緒に遊んだ時期から、卒業を間近にして芽生えた幼い恋心、高校入学での別れ、そして再会、新しい恋、浪人時代……。コンプレックスが多くておっちょこちょいの加南と、ぶっきらぼうだけど憎めない線。二人の12才から19才、子どもから大人へと心も体も変化していく6年間が、それはまあ見事に描かれています。

中1の二人と、最終回間際の二人の姿を、どうぞ見比べてみてください。

 

左:中学時代 右:浪人時代

 

気がついたら加南と線がこんなにも成長しているのです!「天然コケッコー」の登場人物もそうでしたが、途中経過をすっとばすのではなく、少しずつ描き分けて違和感なく変化させていくって、すごいですよね。

「おしゃべり階段」。このタイトルの意味を考えたこともありませんでしたが、30年ごしで気がつきました。大人の階段をのぼっているのね! ああ、何度も惚れ直してしまいます。

 

じつは私は、一冊の本を再読することがあまりありません。常に新しい本に手をのばすタイプというより、仕事がら新作チェックを優先してしまいます。

つまり「読み返す」という豊かな時間がとれない現実。でも、なぜかコミックだけは例外です。

 

 

これらは私がときどき読み返している・読み返したいコミックたちです。「大島弓子選集」はもちろん全巻揃えていて、ふとした考えごとの延長などで本棚に手をのばし、ランダムに短編を選んで読んでいます。

「乙嫁語り」も同様で、時間軸はあるもののエピソードごとに分かれているため気軽に読み返す作品。異文化が大好きなもので、気持ちを切り替えたいときに読みたくなるかな。

「町でうわさの天狗の子」は、ここ数年最も気に入った作品なので、時間があるときに読み返そうと、本棚の手前の方におさめています。

本音をいうと、いちばん読み返したいのは「三国志」ですが、こんなの受験も部活もバイトもない高校の夏休みに戻るしかないですわ。

 

「じゃりン子チエ」「まことちゃん」は、もはや表紙を見るだけで気持ちが満たされます。忙しい大人になると、そんな本も大事。

「イティハーサ」は、りぼんっ子だった私が友達に借りて読んだら大ハマりして以来、20年手放せない作品。素晴らしすぎる物語なので、読むのに気合いが必要です。3日以上、何もしなくていい休みがとれたら、イティハーサDAYSを堪能するのが目下の小さな夢です。

最後に「ベルサイユのばら」は、アンドレ様が見たくてたまにページを開きます。

 

ああ、もっと、もっと、あるのです!読み返したいコミックが!

こうして思い出していくと、どんどん焼け木杭に火がついちゃいますね。