第十八回 バイト先でユリ・ゲラーの超能力番組に夢中になりすぎて恥をかいた話

 

 

■最近のバイトのバカ行動はリスクが高すぎる!

最近、何かと問題になっているバイトテロ動画。

普段、自分がよく行く店で、一度ごみ箱に入れた魚を調理している動画が撮られていたらイヤな気持ちになるし、しばらくは行きたくなくなる。ジジイとしては「最近の若いもんは……」と文句のひとつも言いたくなるところ。

とはいえ、「ヒマを持て余したバカなバイトが就業時間中に余計なことをやる」というのは何も最近突然はじまったことではなく、昔のバカ学生たちもやっていた。

さすがにお客さんが口にする食材で遊ぶというのは今も昔もアウトだが、牛丼屋に行くと黙ってても超大盛りにしてくれる先輩とかいっぱいいたもんなぁ……。

当時はネットやSNSがなかったから世間的には拡散されず、せいぜい店長や社員さんに見つかってメチャクチャ怒られるくらいで済んでいた話。

昔のバカ学生と同じようなことをやっていたとしても、その動画をネットにアップすることで、若気の至りにしてもほどがあるバカ面を全世界に発信して永遠に記録されちゃったり、巨額の損害賠償を追わされ人生終了してしまったり……今の若者のバカ行動は、自業自得とはいえリスクがデカ過ぎて気の毒ではある。

■ユリ・ゲラーのせいで恥をかいた

かくいうボクも、学生時代のバイトをそんなに生真面目にやっていたかと言われれば、そんなことはなく。

ガラス拭きのバイトでは「あのガラスはまだキレイだから今回は拭かなくてオッケー」くらいの判断は勝手にしていたし、コンビニで賞味期限切れになった弁当をコッソリ仕事中に食べたりもしていた。

中でも、すごく印象に残っているバイトが、ホテルの有料チャンネルの監視。

社員さんたちが帰った深夜、ホテルの地下にある事務所にひとりでこもって、客室で流れている有料チャンネルの放送が止まったり、ノイズが乗ったりしていないかを延々監視するというバイト。

当時、まだビデオテープで放送されていたとはいえ、そうそう止まったりノイズが乗ることなんてないので、そんなに集中して監視用のモニターを見ていなくても、トラブルは起こらない、とりあえずその場に居さえすればオッケーというメチャクチャ楽なバイトだった(その万が一のトラブルのために雇われていたんだけど)。

事務所内にはモニターの他に、一般の番組が映るテレビも設置されていたため、仕事中は見ちゃダメというルールではあったものの、まあ、片眼で監視モニターを見つつ、片眼でテレビを見る……くらいのことはよくやっていたのだ。

そんなある日、テレビではユリ・ゲラーの特番が放送されていた。

超能力やUFOなど、オカルト物が大好きなボクは、モニター1:テレビ9くらいの割合でユリ・ゲラーに夢中に。

テレビの中で様々な超能力を披露した後、ユリがこんなことを言い出した。

「コレカラ、ミナサンノ所ニモパワーヲ送リマ~ス」

なんでも、テレビの上に壊れた時計やスプーン、鍵、カメラなどを置けば、ユリのパワーで壊れた時計は動き出し、スプーンや鍵はねじ曲がり、カメラには謎の映像が記録されるというのだ。

「スゴイ! ボクもパワーを受信したい!」

さすがに事務所にスプーンやカメラはなかったので、自宅の鍵をテレビの上に置いて、ワクワクとユリのパワーを待った。

……まあ、当然(?)ボクの鍵には何の変化もナシ。しかも、テレビの上に鍵を置き忘れたままバイトが終わり、帰ってしまったのだ。

ひとり暮らしの部屋に帰っても、鍵がなければ入ることはできず。仕方なく、社員さんがいる時間帯にバイト先に戻って鍵を回収したのだが、

「なんでテレビの上に鍵を置いてたの?」

という社員さんの素朴な疑問に答えることはできなかった。

バイト中にテレビを見ていたことを怒られるのもイヤだし、いい歳こいてユリ・ゲラーの超能力を信じていると思われるのも恥ずかしかったし……。

ということで、バイトとはいえ仕事はなるべく真面目に。ましてやネットに動画なんて絶対に上げるな! という話でした。