第二十一回 デブも童貞も、本当は心を愛してもらいたいのだ

 

 

 

人気がない、客が2〜3人しかいないような地下アイドルの現場ばかり渡り歩くマニアがいるように。鉄道に乗るでも撮るでもなく、ニオイを嗅ぐのが好きなマニアがいるように。ニッチなジャンルにはニッチなジャンルなりにマニアがいるもの。

 

ということで恋愛市場においても、どんなにデブでもハゲでも面白フェイスでも、そういうのが好きなマニアックな嗜好を持つ人が意外といるのであきらめることはない。

 

……が、難しいのは、デブ好きなデブ専女子のことを、デブな男子は必ずしも好きなわけじゃないということだ。

 

■オレのこと肉としか見てないじゃん!

 

 

知り合いに体重0.1トンを大幅に超えた、なかなかハイレベルなデブがいる。

 

気のいいヤツではあるのだが、体型が人間というよりは球体に近いので、女の子にはなかなか彼のよさを理解してもらえず、10年以上彼女がいないのが悩みなのだ。

 

そんな彼が、かなりの美女から「食事に行きましょう」とアプローチをかけられた。聞くと彼女はものすごいデブ専で、彼のことはタイプど真ん中らしい。

 

マジで羨ましいと思うレベルの美女からのお誘い。

 

彼の人生に訪れた最大のチャンスとしか思えないのだが、なんと彼は食事の誘いを断ってしまった。

 

「だってあの子、オレのこと肉としか見てないじゃん!」

 

せっかく「デブ」という自分のマイナス要素を愛してくれる相手と出会えたというのに、「デブ、だぁ〜い好き!」とド直球で言われちゃうと、それはそれでイヤなものらしい。

 

「肉じゃなくて、心を愛してもらいたい!」

 

気持ちはものすごくよく分かる。……ものすごくよく分かるけど、あれから3年、彼はいまだに恋人がいない。

 

■「童貞食い」の成功率は意外と高くない

 

「童貞食い」という、サンタクロースよりも夢を与える活動をしている女の子もいた。彼女は、出会い系サイトなどで童貞を漁り、メッセージを送りまくっているのだ。

 

オレが童貞だった頃には、そんなの都市伝説としか思っていなかったのに、こんなに身近にいたとは……。「幸福の青い鳥は意外と近くにいた」みたいな話だ。なぜ、オレが童貞の頃に会いに来てくれなかったのか!?

 

それはいいとして。

 

「童貞、だぁ〜い好きなんです」

 

という、童貞にとっては就活の採用通知よりも欲しいメッセージ。そんなの送ったら即入れ食いだろうと思ったのだが、予想外に返信率が低く、いざ会えたとしても成功(性交)できる確率は意外と高くないそうだ。

 

この話を居酒屋で聞かされたボクが完全に勃起していたことからも分かるように、彼女はそこそこかわいらしい。普通に、こんな子から迫られたらイヤな気はしないと思うのだが……。

 

コレもやっぱり「童貞よりも心を愛して欲しい」ということなのだろう。

 

「童貞を捨てたい」と心から願っている童貞の元に現れた、「童貞を食いたい」という女性。「こぶとりじいさん」のこぶを奪った鬼のようなありがたい存在だ。

 

とはいえ「童貞、だぁ〜い好き」とグイグイ来られると「こいつ、オレのこと童貞としか見てねえじゃねーか!」と思ってしまうのだろう。

 

……いや、ただ単に美人局やいたずらを警戒されたのかもしれないが。

 

 

■オブラートに包んでアプローチしてください!

 

「デブ専」や「童貞食い」。端から見ていると、ものすごく羨ましい存在ではあるのだが、当事者にとってはそうでもない。

 

どちらにも共通するのは、ちょっと上から目線を感じるということ。

 

「デブ(童貞)なアナタを相手にしてあげてるのよ、うれしいでしょ!?」

 

心からデブ(童貞)を愛しているのかもしれないけど、普段、デブ(童貞)であることがコンプレックスになっている者からすると、あまりに直球なアプローチを受けるとこう感じてしまいがちだ。

 

デブ専、童貞好き、ハゲマニア……等々、まあまあマニアックな嗜好を持っている自覚症状がある方は、ド直球で「○○大好き!」と言うんじゃなくて、ほんのりオブラートに包んで「アナタの心も好き!」的なアプローチをかけてもらえると、お互いに幸せになれるんじゃないでしょうか。

 
 
 
 
 

 

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