第15回 当店でモテモテの本 season2

 

 

前回、「当店でモテモテの本season1」は→コチラ

 

 

いい季節はあっという間。冬が終わり暖かくなって客足が戻ってきたと思ったら梅雨、そしてすぐに一歩も外に出たくないような夏がやって来ます。最寄り駅から徒歩7〜10分もかかる当店のような店に、それでもお客さまが足を運んでくれるのは、ひとえに魅力的で「ここで手に入れたい」と思わせる本たちのおかげです。

 

店内すべての本が大人気!と言いたいところですが、そこはまあ人間のモテと同じ。タイミングやマッチングなどさまざまな事情が重なり合って売れ行きに違いが出てくるわけです。

同じモテ本のなかにも、以前紹介したようなロングセラーの“細く長くモテる”ものもあれば、あっという間に売り切れてしまう“旬のモテ”本もあります。

 

さて、誰の何の参考になるかわからない当店ランキング、今回は後者の旬モテ本を紹介します。3日間で100冊以上を売り上げ、そして今もまだモテ続けているこの本は……

 

ネルノダイスキ『ひょうひょう』アタシ社

 

 

作者のネルノダイスキさんは、主に「コミティア」(注1)で自費出版のコミックを発表し続けて来たアーティスト。ネットではなくリアルな対面の即売会でじわじわとファンを増やしてきました。

 

2016年にはメディア芸術祭で受賞し、大手コミック誌に作品が掲載されますが、その後もこれまでと変わらず即売会に出店し続け、また美術作家として年に数回ギャラリーで個展をひらいてきました。

 

あ、ネルノダイスキというユニークなペンネームは「寝るの大好き」とアイデアを「練る」のが大好きという二つの意味をかけているそうです。いちど見ると忘れられないですよね。

 

そんなネルノダイスキさんの初の単行本『ひょうひょう』を出版したのは、静岡県の港町・三崎の小さな出版社「アタシ社」。ご夫婦で本や雑誌をつくったり、図書スペースをきりもりしたり、地元で地に足ついた活動をされています。

 

ネルノダイスキ(twitter ID)→@nerunodaisuki

アタシ社→https://www.atashisya.com/

 

『ひょうひょう』はネルノダイスキさんがこれまでに発表した漫画をまとめた短編集。内容はもちろん「おもしろい」とハッキリと言いましょう。そしてもうひとつの大きな魅力は、そのルックス。

 

店に本が届いて、ダンボールを抱えた私は腰が抜けそうになりました。みなさんもご存知のように、本の詰まったダンボール箱って「重い」のですが、想像を絶していました。箱の大きさに対して5割増の重さ。持ち上げた瞬間、腕と腰の筋肉が驚き、脳が数秒混乱しました。

というのもこの本、表紙には特殊なメタリック加工紙、本文用紙も昨今のゆるふわ傾向とは真逆の、目がギュッと詰まり手ごたえじゅうぶんの紙を使用しています。この「モノ感」よ……。

 

レジではよく「こんな漫画があったんですね、知らなかった!」とか「この作家さん、有名な方なんですか?」など初見のお客さまからたずねられます。ぱっと目をひくルックスと、立ち読みしたときにグッと心をつかまれる内容。初めて会ったときに惹かれて、少し話をしたら好きになってしまった……そんな感じでしょうか。

 

『ひょうひょう』は刊行から1ヶ月もたたないうちに重版出来!まさに旬のモテ本です。そしてこれからも長く愛されて、ネルノダイスキさんの代表作になりそうな予感。小さな出版社が発見し、作者といっしょにつくった初めての単行本。こんな本をたくさん売ることができて、店としても幸せを感じる本です。

 

当店のオンラインストアはこちら→popotame.com

 

注1:COMITIA(コミティア)は年4回東京で開催される同人誌の即売会。二次創作ではなくオリジナルの創作物に限られる。