第22回 「やきもち」の有用性について

ぼく、ヒモックマ。

 

女に養ってもらっている白クマの男の子だよ。

 

恋愛においてピリリと山椒のような刺激(アクセント)をあたえてくれるのが、「やきもち」だよね。

 

 

「やきもち」は、言い方を変えると「嫉妬(しっと)」になるわけだけど、これだとネガティブなイメージがあるよね。

 

でも、やきもちはある意味では、愛情表現にもなりうるとぼくは思っているんだ。

 

「ぼく以外の男に目移りしていたら嫌だ」という気持ちは、逆説的にいうと「ぼくのことをずっと見ていてほしい(なぜならキミが好きだから)」と、とらえることができるからね。

 

 

この「やきもちを妬くことにより、逆説的に愛情を伝える」という理論を応用したテクニックが、ビジネスやきもちだよ。

 

実際のところは嫉妬心はないけれど、ビジネス(=ヒモ生活)を円滑に進めるために妬くやきもち。

 

これが、ヒモが妬くべき「ビジネスやきもち」さ。

 

わかりやすい例でいうと、テレビで人気の男性アイドルや、2次元のキャラクターに対して妬くやきもちは、比較的「ビジネスやきもち」と言えると思う。

 

なぜなら、現実味がないからね。

 

芸能人やアニメキャラにNTRれることは、現実には、まず起こり得ない。

 

「俺と〇〇(アニメキャラ)、どっちの方が好きなの?どっちの方がカッコイイ?」とやきもちを妬いても、よっぽど関係が冷え切っていない限り「もぁ~、何言ってんのよ~(笑)」と笑って返してくれるはず。

 

 

難しいのは、彼女が「会社の飲み会」や「同窓会」に参加するパターン。

 

相手がちょうど喜ぶタイミングで、「その集まりって、男も来るの?」「ん~、心配だな~」とビジネスやきもちを発動させられたらいいのだけれど、タイミングによっては、相手に「マジのやきもち」と思われる可能性も、十分あるんだ。

 

そうならないための注意点としては、「相手の行動を制限するやきもちは、NG」ということを肝に銘じておいてほしい。

 

なるべくそうならないために、表情やタイミング、声のトーンは注意してね。

 

ビジネスやきもちは、相手に逆説的に愛情を伝えるのが目的であり、万が一にも「はぁ?うざっ」と思われてしまっては意味がないよ。

 

前述の男性アイドルやアニメキャラのケースにおいても、ビジネスやきもちのつもりでも「コンサートに行かないで」「そんなことにお金を使わないで」などの行動を制限するやきもちは、やめておこう。

 

相手に「束縛された」と思われてしまっては、本末転倒だよ。

 

 

結局のところ、ビジネスやきもちの正解パターンは、「相手や、その時の状況によって異なる」なんだよね。

 

残念ながら、ひとことでは言い表せられないのが、もどかしい。ごめんね。

 

女の子によって、「やきもちを妬いてもらえると嬉しい」「束縛されているくらいがちょうどいい」と感じるひともいれば、「やきもちなんか邪魔くさい」「束縛なんてありえない」と感じるひともいるので、一概に「これが正解だ」と言い切れないんだ。

 

相手との関係値や、相手の価値観によっても差が生じるので、こればっかりは、場数を踏むしかない。

 

うなぎ職人は、一人前になるには、「裂き3年、串打ち3年、焼き一生」といわれている。

 

ヒモ職人も、ビジネスやきもちは「妬き一生」なことに変わりはないんだ。

 

 

だからといって、ビジネスやきもちを諦めないでほしい。

 

ぼくたちにはまだ希望は残っている。

 

そこで、推奨したいのが「第三のやきもち」だ。

 

やきもちを妬くという行為は同じなのに、原材料が異なるやきもち。

 

それが、「第三のやきもち」だ。

 

 

たとえば、ふたりで公園に行った時に、フリスビーで遊んでいたトイプードルが、こちらに近寄って来たとしよう。

 

その時、きっと彼女は「かわいい~」と言うことだろう。

 

これに対して、「はぁ? 俺にもカワイイって言ってよ!」と、プリプリ怒る。

 

これが、「第三のやきもち」だ。

 

彼女が可愛い表情をした時に、「くそー!可愛いなぁー! 他の男にはその表情、見せないでよ!」と、照れながら怒ってみる。

 

これも、「第三のやきもち」だ。

 

つまり、やきもちの対象が「人間以外、もしくは架空の人物」の時に、発動させるやきもちのことだ。

 

たとえ相手がトイプードルであろうと、たとえ相手が存在しない架空の人物だろうと、「やきもちを妬くことで、逆説的に相手に好意を伝える」ということはクリアしている。

 

なにより「第三のやきもち」が優れている点は、「特定の誰か」が見えてこないところだろう。

 

「やきもち」「ビジネスやきもち」は、やきもちの対象者の顔が見えてきやすい。

 

相手の立場になって考えた時に、全く異性として意識していない男友達に対してまで、やきもちを妬かれたら「うざっ」となると思う。

 

しかし、第三のやきもちは、一切、相手の顔が見えてこないので(というか、相手は存在しないので)安心してやきもちに対して笑い合えることができる。

 

 

昨今のお笑い表現は、大衆が「安心して笑える」ことが重要になっている。

 

これは、やきもちにも、同じことが言える。

 

やきもちからは「嫉妬」「束縛」といったものを連想してしまいがちだ。

 

しかし、それらを断ち切り「安心して笑える」ところまで、やきもちを昇華させたら、それはもう高度な愛情表現だと言えよう。

 

令和時代のビジネスやきもちは、「第三のやきもち」を推奨したい。

 

人間以外のものや、架空の人物にどんどんやきもちを妬いていこう!