第二十一回 「人生のアリバイ総崩し」

 

 

 

ミステリは好きですか?私はだいすきです。犯人は?トリックは?鉄壁にみえるアリバイを崩せ!叙述や供述から矛盾を見つけて犯人を追い詰めろ…!
それが…なんとラジオで臨場感たっぷりに体験できるんです…!そうラジオ番組、電話人生相談です…!
「相談者」は「事件(困りごと)」を持ち込み、なんなら最初から犯人(原因)も指名してきて解決を求めてきます…しかし探偵役の回答者による、ん…?今のちょっと解せないんだけど?とさりげない指摘から入るアリバイ総崩し回はめっっちゃワクワクして平日の午前中から手に汗ダクダク…!


「貴方さぁ、なんか隠してない?」(と本当に番組内で言います)

 

現在シェルターにいる妻との離婚調停が不成立に終わり、これから訴訟を迎えるが離れ離れとなった子供には会えるんでしょうかと涙ながらの50歳夫。

 

「突然息子と出かけて帰ってこなかったんですよ…」
「あらら」
「いつも帰ってくる時間になっても帰ってこないので警察の方に連絡したら安全な場所にいるといわれて」

しょっぱなから溢れかえるキナ臭さ。犯人っぽすぎて指摘ためらわれるほどの犯人ぽさ。

「安全な所っていうのはご実家とかじゃない訳ね?」
「あの前回もなんかシェルターみたいなシェルターていうかそういうとこに行って。なんでそういうとこに行くんだって聞いたらそういう風に言ったんですよ」

シェルターていうかシェルターみたいなとかたくなにシェルターと認めないことで逆にシェルターを強く印象付けてしまう夫。
そして前回、って…シェルターはじめてじゃない…初犯じゃない…。

「ちょっと待って?シェルター行ってたって事はよ?貴方に何かされて危険だから行ったんですよ?」
「いや自分自身暴力とか振るってはいないです。嫁さんていうのは”私は何も悪くない”しか言わなくてこっち責めるだけでギャーギャーしか言わなくてそれで不仲になったんですよね」

事実と一致しない供述が始まる…。

「要するにまぁ口喧嘩でちゃぶ台ひっくり返したりですね。そしたら向こうは鍋ひっくり返してきたような感じとか、取っくみあいとか蹴り入れられたりとか自分も故意じゃなかったんですけど頬っぺたひっぱたいてしまったこと2、3度ありました」

「ただ、怪我させるようなことは一切したことないんですよね」

その矛と盾…ちょっと貫けるか試していい…?

「(調停でも)暴力、DV、家庭を顧みない、の項目にチェックがついてて、自分は何もしてないのにそういう事、何もしてないのに」

頬っぺたひっぱたき及びちゃぶ台返しは暴力としてノーカンぽい(夫調べ)。

「居場所わかんないようにシェルター、って奥様の訴えが相当強くないとそうならないですよ?」
「だからあの、自分も、なんで何もしてないのになんでそこまでって納得いかない部分あります」

ヒューマンのみえるそれぞれの景色はなぜこうも違うの…。

 

自分と元上司との不貞が原因で離婚を求めてきた夫に戻ってきてほしいと願う妻。

不倫ではなく不可抗力なセクハラだったと主張する相談者主観の物語にチクリチクリと確認をいれてくる名探偵。

「あなたの話、理解できないっていうか腑に落ちないっていうか。帰ってきてもらいたいという気持ちが主人への愛なんだと、それ本当なんですかねえ?」

「あれえ、それ(不倫)って結婚して半年のことですよねえ?その時からすでに?」

夫を愛していた、だけど結婚半年後からもうすでに不倫関係があった妻の矛盾を、回答者の弁護士がつつくつつく!当番組で回答者があれえー?ってシレっと何か言い出したら皆身構えろ…!

実はずっと寂しかった、夫が自分を寂しがらせたと泣き出す相談者。

 

「それでも好きなんですかねえ?早い段階から寂しさ感じるような、充足が得られないような夫婦の関係で、ご主人に対する気持ち、あるんですかねえ?」

「離婚をしたくない理由が生活維持したいとかなら理解できるんですけど、あなたは愛だとおっしゃるから」

ああもう弁護士コナンが意地悪に詰める詰める…。

「性的に関心もってくれないことに傷ついていた、夫のことを自分を傷つける状況に置く人だと思ってる訳でしょ?だから他の男性と関係もっても正当化されるんだということを言ってるんですよね?それなのにまあご主人が好きだから別れたくないというんですか????」

じつに容赦ないコロンボに完落ちする相談者。
相談しにきたのにアリバイは崩され、動機も解体され、真の犯人として指さされる…たった十数分でこれだけ盛り込まれる最高にエキサイティングなドラマ…電話人生相談…。聞こえる…流れてないエンディングが聞こえる…。