第二十七回 FPS感覚のバトルロワイアルな体験を「ホテルAsex Legends」

 

 

 

ペルーに行った際に、大きいけれど古いショッピングモールを歩いた。人は決して多くはなく、田舎を走る電車の乗客のような感じだった。人こそ少ないがなんでもある。電気屋もあれば、洋服屋もあり、生鮮品も売っていれば、本屋もある。合法化なのかわからない謎のDVDを売るお店もあった。ただ人は少ない。

 

そんなショッピングモールだけど、一箇所だけ人がみっちりといるお店があった。それは日本で言うところのネットカフェのようなお店だ。デスクトップパソコンがずらりと並び、椅子に座った人はブルーに光るヘッドフォンをつけて、みんなマウスをいじっている。

 

その様子がガラス越しに見える。かなりの数のパソコンが並んでいるけれど、全てのパソコンの前に人が座り、熱心に画面に向かっている。何をしているのかと覗き込めば、それはゲームだった。インターネットを介して世界中の誰かと戦うタイプのFPSゲームだ。

 

ゲームにはRPGやアクションなどいろいろなジャンルがあるけれど、最近人気なのが「バトルロワイアル」というものだ。たとえばある島に100人のプレイヤーが一斉に手ぶらで集められる。スタートとともに、プレイヤーは各々好きな場所に行って、落ちている武器や弾を拾い、自分以外のプレイヤーを撃つ。そして、最後に残った一人が勝ちだ。

 

これがバトルロワイアルの一番のスタンダード。その他にもチーム制だったり、武器以外も落ちていて、それで家を作ったりなど、様々なバリエーションがある。これがいま世界中で人気だ。それをペルーで皆が興じていたわけだ。もちろん日本でも人気で、動画配信サイトなどを見ると、多くの配信者が実況しながら「バトルロワイアル系」のゲームをしている。

 

手ぶらで始まり、落ちている武器や防具などで、強さが変わる偶然性などが面白いポイントだろう。武器が落ちている場所はプレイ毎に変わり、同じ場所に向かった者たちはより早く武器を拾ったものに撃たれてゲームーオーバーになってしまう。実力だけではなく、運も必要になることが盛りあがっている要素のひとつだ。

 

そんなホテルが瀬戸内海のある島にあった。「ホテルAsex Legends」。いい名前だ。都会にあるホテルは大きくてもちょっといいマンションくらいのサイズだけれど、ホテルAsex Legendsは違う。東京ドーム3個分もある。そんな広々としたラブホテルはなかなか見たことがない。ホテル全体に屋根はなく、フィールドと呼ばれる場所には崖があり、川が流れ、木の小屋のようなものが複数建っている。

 

自由な時間にホテルに行くのではなく、時間制となっており、時間になるとホテル利用が開始される。利用者はプレイヤーと呼ばれ2人1組が基本だ、50組集まると始まる。一回の利用は3時間だ。東京ドーム3個分の敷地は壁で囲まれ、いくつもの入り口があり、好きなところから時間になればフィールドに入ることができる。その時は全員手ぶらだ。

 

フィールドにはいろいろなものが落ちている。大人のおもちゃだったり、ローションだったり、避妊具だったり。これを使って二人は行為をするのだ。ただし全員分が落ちているわけではないので、誰かの取ったアイテムを奪うのも自由だ。行為中は特に狙われやすいので注意が必要。

 

たまに「ケアパケ」と呼ばれる特別にいいアイテムが入ったものがパラシュートで投下される。そこには極薄の避妊具や、海外製の元気になる薬、小屋以外のフィールドでも痛くないように最高級のヨガマットなどが入っている。人気なのでケアパケに多くのグループが群がるが、バックを持っていないので、持てるものに限度があり、今まで持っていた道具を捨てて、よりよいものに替える様子がうかがえる。

 

いいアイテムが手に入ったグループは早々に小屋で行為を始めるが、そうでないグループは制限時間ギリギリでもうフィールドのなんでもないところで行為を始めてしまう。それはそれで楽しいのかもしれない。

 

私は残念ながら一人だったので、入場すら叶わず、特別にホテルAsex Legendsのフィールドが見渡せるオフィスでその様子を眺めた。一組のカップルを見ながら、「この避妊具よりこっちだな」、「ローション欲しいな、落ちてないかな」とついつい自然に実況してしまった。オーナーも「気持ちはわかりますよ」と言っていた。

 

ホテルAsex Legendsは今までのラブホテルにはない、サバイバル型のラブホテルだ。倒されたり、行為できなかったりするカップルも発生して、生物が本来持つサバイバル精神を呼び起こしてくれる。

 

毎回アイテムの落ちている場所は異なるので、何度でも楽しめる。海外ではこのようなホテルがどんどんと作られており、砂漠や山岳地帯、見捨てられた島など、様々なフィールドが整備されつつある。今後日本でもこのようなラブホテルが増えるのではないだろうか。