第五回 誰かに肯定してほしい。静かに添い寝してほしい

 

 

3で深夜2時まで残業の日々。通勤はいつもタクシー

 

女性の恋愛感情が高まるタイミングを知って男女関係をもっとやりやすくしよう、という趣旨の本連載。「そんな暇があったら少しでも話しかけやすくて頼もしい男性になるべき。タイミングが良くても気難しくて面倒くさい男性には決して近づかないから」などの真っ当な反論が寄せられている。テーマ設定を間違えたのだろうか。早くも連載終了の危機である。

「大丈夫ですよ。仮説は検証するためにあるんですから。誰かが何かを言ってくれるからこそ、違うアイディアも出せるんです」

都内の居酒屋で飲みながら筆者を知的に慰めてくれるのは某専門職に就いているサヤカさん(36歳)。小柄で色白の和風美人だ。学歴も職歴も収入もハイスペックで、婚活中にお見合いした男性からは物珍しげに経歴を問われたこともある。「ジョブインタビュー(採用面接)のようだった」と苦笑するサヤカさん。見た目より強い女性だ。

サヤカさんはいま、時間的にも精神的にも恋愛をしている余裕はないと明かす。朝8時半出勤にもかかわらず、週3回は深夜2時まで会社にいる。顧客企業とのミーティング準備などに追われているからだ。

「考える作業は自宅でもできますし、実際にやっています。でも、情報を探したり手を動かしてプレゼン資料を作ったりする作業は会社でやるので、どうしても帰りが遅くなるのです。疲れてしまって、朝も夜もタクシーを使っています」

 

男性にはスナックや風俗がある。女性はどこに行けばいいの?

 

素直な性格で柔軟性もあるサヤカさん。上司からも顧客からも好かれやすく、様々な案件が舞い込んでくる。それは嬉しいことだが、自分が得意ではない分野の仕事で睡眠不足の日々が続くと気持ちの余裕がなくなってしまう。

「いまの上司はプレゼン資料まで細かく指導するタイプの人です。悔しいぐらいに的確な指導なので、元気なときだったらありがたいフィードバックだと受け止められるでしょう。でも、そもそも私がやりたい分野の仕事ではなく、夜2時までの作業が続いているときに言われると『何で私が……』という気分になってしまいます。正論を言われる側に初めて立ち、その苦しさに気づきました。『努力すれば何でもできる!』と信じていた若い頃とは違います。言われる側にだって言い分はあるんですよ!」

かなりストレスが溜まっているようだ。その上司はパワハラをしているわけではない。ワーカホリック気味に仕事熱心で、抜群に頭が良く、なおかつサヤカさんの教育にも責任を感じているのだろう。それがいまの彼女には「重い」のだ。

「毎日のように正しく否定されていると、誰かに肯定してほしくなります。癒されたいんです」

そのようなタイミングで求める男性は「添い寝男子」だとサヤカさんは語る。親密さが深まった恋人ではない限りセックスをしたいとは思わない。でも、話を聞いてくれて「そうだね。大変だったね」と共感してくれて頭を撫でてくれる男性がいてほしい。

「マッサージのようにロボットやAIでもできることだからこそ、人間にやってもらいたいことってあると思うんです。ぬくもりや気持ちがほしいときですね。男性には風俗店などがありますけれど、女性はどこに行けばいいのでしょうか」

 

行きつけのダイニングバーや居酒屋、寿司屋を探しましょう

 

恋人以外とセックスしたいとは思わないと言い切るサヤカさんには残念ながら(?)「ビッチ期」は存在しない。かといって、仕事に追われている現在は特定の男性とゆっくりと関係性を育むゆとりもない。遅くまで働いたけれど翌日は休みで、一人暮らしの自宅マンションに真っ直ぐ帰る気分にはなれないとき、「今日はこんなことがあってね」と気軽に話せる「都合がいい」相手が必要なのだ。それがかなわない状態が長く続き過ぎると、既婚の同僚との不倫に陥ったり、ホストに貢いだりする危険性が高まると思う。

いまのサヤカさんに必要なのは、行きつけのダイニングバーや居酒屋、寿司屋ではないだろうか。店のマスターは一回り以上年上の既婚者だと良い。奥さんが一緒に切り盛りしているとなお良い。マスターとの無駄な恋愛に発展する可能性が低くなるからだ。

サヤカさんは可愛らしく賢い美人だ。カウンターに一人で座ってニコニコしていればきっとマスターから気に入られるだろう。酒に弱くても問題ない。店が暇なときであれば、仕事の愚痴も聞いてくれるはずだ。

一般の酒飲み男性としても、サヤカさんのような美人が一人で酒場に来てくれると嬉しい。客同士の対等な関係で話すだけでも楽しいし、お互いに一人者であれば恋愛につながってもいいだろう。全国にある良き酒場は大人同士の社交場になってほしいと筆者は思う。

 

※登場人物はすべて仮名です。

 

 

イラスト:吉濱あさこ http://asako-gaho.com/

 

ナポレオンのメルマガに登録しよう!